洋書の古い絵本の修理
洋書の古い絵本の修理をしました。
表紙の背とよばれる本棚に入っている並んだ本のタイトルがのっている部分が一部なくなっていて、残った部分も皮一枚でつながっているような、いまにも外れてしまいそうな状態です。
表紙を開くカドもすり減り、表紙の中身の芯材が見えて丸まっています。そおっと開くと表紙と中身をつなぐ見返しは大きく破れ、いまにももっと破れてしまいそう。
依頼者のかたは本がより壊れてしまうことを恐れて、絵本を開くことができなかったそうです。この本の見返しのデザインや表紙が大好きで、これらをできる限り残して安心して開けるようにしてほしい!というご依頼です。
今回は表紙の背は取り去ってしまって良いとのことでしたので、背表紙は全て取り去り、代わりに新しく似た色の布で背をつくりました。
見返しの破れた部分には和紙を貼り、すり減って丸くなってしまった表紙の角には、また別の和紙を貼って上から似た色をつくり重ねました。
擦り傷のように傷んでいる部分や、表紙の芯材が少し見えている部分に関しては、そのまま残しておいてかまわないとのことでしたので、経年変化の古い味わいが残る仕上がりに。
これまで開くことができなかった絵本が、見た目のイメージは元のまま、安心して開くことができるようになったので、依頼者の方にとても喜んでいただけました。
2022