依頼してくださった方の、亡くなったお父さまのアルバムの修理を行いました。

背表紙が表側、裏側ともにぱっくりと割れ、裏表紙側は見返しも完全に破れています。おもて表紙側の見返しも上下両側から破れていて、真ん中で繋がっているけれど、アルバムを開く度にこれからも破れが広がっていくであろう状態。表紙の四隅は割れが進み、花布は上側が消失しており、下側だけが一部欠損しつつもかろうじて残っている状態でした。

できるだけ元の印象を損なわないかたちでとの修理のご依頼です。

アルバムのおもて表紙右下には校章がつけられていて、裏側の見返しまで貫通し、貫通した内側は樹皮でカバーがされています。アルバム内部にも一部樹皮が使われていることから、亡くなったお父さまが校章をつけたのかもしれません。樹皮が弱いこともあり、あまりいじりたくなく、今回は見返しを剥がさない形で修理を行いました。破れたノドの部分は和紙で補修し、背と同じ布を使い修理しました。

残った花布は紙製で、一部欠けている状態だったため、いちど解体ののち欠けている部分は似た色味の丈夫な和紙を足し、欠損している上側の花布は、この欠けている部分に足した和紙と同じもので新しく作り直しました。

背表紙はあたらしく似た色味の布を使い、元々の背を接着させ、細かい破れや表紙の割れは糊を入れ、元の印象を損なわないように修理しました。

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