革表紙のアルバム改装修理
60年ほど前の革張り表紙のアルバムの修理を行いました。
とても素敵な表紙のアルバムだったのですが、革が劣化し「レッドロット」と呼ばれる現象を起こしている状態でした。
背表紙が外れていたため、背表紙を直してほしいというご依頼でしたが、実際のアルバムをお送りいただき拝見させていただくことで背表紙だけではなく、表紙全体の修理が必要な状態であることがわかりました。
表紙に触れると赤茶けた粉が手につき(写真3枚目の画像でも粉がふいていることが確認できます)、少し触れただけでも革が剥がれ、崩れてしまうような状態。
この粉状になってしまう革を固着させる方法もありますが、今回はこれまでと見た目をできるだけ同じように整えることよりも、これからも安心してページをめくることができるようにしたいとのご希望から、布表紙に改装修理を行う運びとなりました。
劣化した表紙から中身を丁寧に取り出し、背貼りされた紙を新しく作り替え、一部消失している花布は、新しく似た色で制作した花布を継ぎ足させていただきました。
紙も劣化が進んでおり、表紙と中身をつなぐ開閉部分で負担が大きい見返しミゾ部分に懸念があり、表紙と似た色の薄い和紙を接着させ、さらに補強を行いました。
お客様も前からこの表紙だったかと思うほどに馴染んでおり、ボロボロで触れなかった状態から、安心してアルバムを開くことができること、ご両親やお祖父様、お祖母様の写真がこれで長く良い状態で残せると喜んでおられました。
ご依頼ありがとうございました。
約W245 ×D55 ×H297 mm
布装あんこ表紙
2021