SHELTER 修理・改装
依頼者の方が、約40年前に購入した建築について書かれた洋書を修理・改装しました。
B4以上あるペーパーバックの大型本です。
頻繁に開かれ、読み、コピーをとったりと、これまでたくさん使用されてきたそうで、ペーパーバックの背がほぼ欠損し、本文がバラバラの状態になっていました。
今後もコピーをとったり色々使っていくだろうとのことで、これからも長い年月を共に過ごせるよう、アジロ綴じだった綴じを折丁ごとに組み直し、糸かがりのハードカバーに改装しました。
改装はするものの、元々の表紙のイラストや、欠損した中でも奇跡的に残った本の背のタイトル部分も再び使用できたので、以前の面影を残しながら、本を修復することができました。
本の内容が近代的な建築ではなく、その土地の気候や自然素材を活かした古くから伝わる建築についての本だったことと、ペーパーバックの面影も残したかったため、表紙の平にはネパールの手すき紙のロクタ紙を、表紙の背は青のフランスの手すき紙を使用しドイツ装に仕立て直しました。
大事な本を託していただけたこと、また長い年月使っていただけることに、とても喜ばしく思います。
277×373mm
- 手すき紙ドイツ装
- 糸かがり
- 角背上製本
2019