昭和初期の古い本

古い本

少しまえのことになりますが、いつもお世話になっている年の離れた紳士から、昭和初期、約80年前の古い古いアルバムを譲り受けました。アルバムはそもそもその方のお父様のもので、ご自宅で写真を現像して、それらをこのアルバムたちに納めていたのだそうです。このたび掲載する許可をいただいたので、一部写真を公開したいと思います。

現代のアルバムにはなかなかない堅牢な製本と、ちゃんと80年後に壊れず残っていることもとても素晴らしいですが、中身の写真や文字のレイアウトと書体がまた素晴らしいのです。

古い本

余白も意識したレイアウトと、全てにおいて修正のない直筆のコメント。意識されて作られていることがわかる書体。写真もわざと余白をジグザグに切ってあるものや、元々の写真の形にとらわれず切り離したもの、周りの写真との兼ね合いや、コメントにも面白みを添えて丁寧にレイアウトされています。

古い本 古い本

こちらも一緒に譲り受けたアルバム。

古い本

中身の台紙が黒で、やはり全て直筆。白文字でコメントが書かれており、こちらも余白、レイアウト、文字の組み方、書体、細かなところまで意識され丁寧に綴られています。

古い本 古い本

先ほどのアルバムもそうですが、この時代のアルバムは紙に写真を糊などで貼り付けるタイプなのですね。文字の細かなこだわりからもセンスの良さが伺えます。この時代のまだ建物の少ない風景もとても素敵なのです。

古い本 古い本 古い本

アルバムを譲り渡してくれた紳士は、お洒落で粋な方なのですが、お父様から譲り受けたセンスの良さが多く関係しているのかもしれないと、妙に納得するアルバムでした。

グラフィックの点からも素晴らしく、製本としてもわたしの勉強になるものではないかとの思いで譲ってくださった本たち。普段から、若い者に色々と柔軟なアドバイスをくれたり、面白いアイディアをだしてくれたり、応援してくれる人生の大先輩。わたしの周りにはそういったかっこいい大先輩が多くいます。大先輩方の生き様をしっかりみて、もっと年を重ねた時に自分も下の世代に何かを渡せるよう、精進したいと思います。

2019/01/22